かつて私の実家に七段飾りのお雛さまがありました。
三十数年前に両親が買ったものです。
その後、訳あって飾る機会がなくなってしまいました。
3月3日が来るたびに、箱にしまったままのあのお雛さまはどうしているか
時々思い出すことがありました。
そうやって何年も申し訳ない気持ちでいた時に、
今年、えさし郷土文化館で「ふるさとのお雛さま」というテーマ展があり、
両親が観たいということで一緒に観に行きました。
そうしましたら、そのテーマ展のスペースに、寄贈者が父の名前になっている
お雛さまが飾ってありました。
父に経緯を聞いたところ、
ごみに捨てるわけにもいかず、燃やすしかないかと思っていたが、
火事になっても困るし、やっぱり不憫に思って何もできずにいて、
思い余って市に相談したところ、寄附を受けてくれることになって、
そうして、この時期、えさし郷土文化館に飾ってくれることになったそうです。
いろんな思いがあって飾られなくなってしまったお雛さまでしたが、
こうしてまた箱から出してもらい、きれいに飾っていただいて、
多くの入館者の方に観ていただける機会ができました。
お雛さまがどことなく、うれしそうに微笑んでいらっしゃるようです。
私の重く申し訳ない気持ちも少し晴れたような気がしています。
えさし郷土文化館の職員の皆さんに心から感謝したいと思います。
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